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囲碁の段級位と実力の話

 囲碁の実力を伝えるのが段級位ですが、囲碁界の人であってもその暗黙の了解的なものを理解していない場合があるほど面倒くさいので軽く整理するというものです。囲碁を知らない人も読むと面白いかもしれません。
 囲碁にはアマとプロがあり、一般にアマには25級~八段*1、プロには初段(1段)から九段まであります。

プロの段位

 先に話が簡単なプロの話をします。囲碁のプロとは、日本棋院関西棋院、中部棋院のプロ採用試験を通った人のことを言い、年に5人ほど選ばれます*2。プロには初段から九段までありますが、これは必ずしも実力順というわけではなく、勝数その他実績などにより昇段していきます。降段はありません。よって、若手の棋士は低い段位になりがちですし、ベテランの棋士は高い段位になりがちです。よくある勘違いとしては、プロ五段の人はプロ二段の人よりも三子強いというような解釈ですが、上記の通りそれは間違いで、プロ低段者とプロ高段者が対局して低段者が勝つということはしばしば起こります。また、プロには十段というものがあって混乱を招くのですが、これはタイトルの名前であって、毎年行われる十段戦という大会で優勝した棋士にのみ与えられる称号です。

アマの段級位

 次にアマの話です。アマの実力差はプロよりもはるかに大きいため、ハンデとして一階級差ごとに一子のハンデが与えられます。例えば、3級の人が1級の人と対局するときは最初に2子置くことになります。ではアマの階級はどのように決まるかですが、基本的に自己申告制です。大会に応じて自分に見合ったと思う段級位を申請します。段級位認定大会などが存在しますが、あれはあくまで自分の適正な実力を測る、もしくはその賞状or免状をもらうことが目的であって、その段級位を名乗るための条件ではないです。また、アマとプロは基準が違うため、一般にアマ八段よりもプロ初段のほうが遥かに強いです*3
 ここまでは簡単なのですが、問題なのはアマの六段、七段、八段です。先ほども言ったように段の申請は多くの大会において自己申告なのですが、暗黙の了解として七段を名乗るためには大きな大会で県代表以上の実績を残していることが必要です*4*5。また、八段は基本的にはいくら強い人も名乗りません。これは八段の免状を取得するためにはかなりの多額のお金を日本棋院に払うことが必要なことに起因しており、別に段級位申請に免状が必要でない大会ならば気にしなくてもいいのですが誰も名乗ろうとしていません。勿論、お金を払って免状を取得したような人は名乗っていたりします*6。これらのことがあって、はっきり言って面倒くさいので多くの強豪のアマは六段を名乗ります。これによってアマ六段界がどうなっているかというと、弱いアマ六段と強いアマ六段の中で三子以上差が開いているということが実際に起きています。また、先ほども言ったように自己申告制なので四段程度の実力でも六段を名乗っちゃうような人もいます。
 では、アマ六段の人の実力を見分けるにはどうすればよいかですが、その人の大会での実績を聞くか、ネット碁での段位を聞けばよいです。大きな大会で実績があるような人は勿論アマ六段の中でも最強クラスです。また、ネット碁は勝敗によって段位が上下するので実力がはっきり見える上に、多くのサイトでは上限が九段まであります*7。よって、アマ六段以上の人の会話では、「ゼム*8何段?」と聞くことが多いです。もしタイゼムで八段あるのならば小さな大会や高校生以下の大会ならばそこそこの実績を残せる圏内にいて、もし九段あるのならば大きな大会でもいい成績を残せるところにいるという感じでしょうか*9

まとめ

 簡単にまとめると、一般にプロはアマよりも強く、アマの段位とプロの段位は別である。アマの段級位は自己申告制で、もし六段と名乗る人がいたらその人は恐ろしく強い可能性もあるし、ただの六段の可能性もあるよということです。

補足

 囲碁界の面倒くさいところとして、院生という存在があります。院生とはプロ棋士の養成機関のようなもので、十代の強い打ち手が集う集団です。院生はアマの大会に出ることが禁止されており、毎週土日に行われる院生内での序列付けの対局をしています。院生の多くはプロにはなれないため、院生をやめるとアマの大会に出場するようになるのですが、当然アマの大会に出ていなかったため実績などはなく*10、アマの囲碁界では無名であったりする場合もあります。しかし、当たり前といえば当たり前ですが院生だった人はかなり強いことが多く、大会に出るようになるといい成績を残しがちです。よって、アマの大会において元院生である人はそれだけで警戒されることが多く、「元院」と呼ばれています。例え知らない名前であっても、「モトイン」と名乗る人や「あの人モトインだよ」などという情報をつかんだら気を付けておいたほうが良いと思います。多くの元院はゼム九段が当たり前です。また、元院生はググれば院生序列というものがヒットするので大会などでは同じリーグの人の名前を検索してみるといいかもしれませんね。

*1:弱いほうから、25級、24級、…、1級、一段、二段、…、八段という風に並びます

*2:この辺りは年によって変わります

*3:たまにプロに勝ってしまうアマもいるわけですが

*4:大会によってはその辺りをしっかりと定義しているものもあります

*5:この辺りは人によって解釈が異なるかもしれません

*6:しかし、日本棋院の段位認定は甘いので、六段以下の棋力でも八段の免状が取れたりします

*7:幽玄の間は八段までですが

*8:タイゼムという名の最も大きな囲碁サイト

*9:しかしまぁ、ゼム九段といってもトッププロから僕のような人までいるわけで、三子ほど実力差があっちゃうのわけですが

*10:アマで実績を残してから院生になる人も多いです